作品の搬入は、もう何十回とやってきているのに、相変わらず胃が痛くなる日。
アトリエに人が入ると、搬入の梱包をやりだすと、作品が自立できてるかできていないかなど、、瞬間的に自分の作品が客観的に見えてくるものがあるのです。
新作を初めて外気とひと気に晒すことの怖さ。
43年も前に描いた「女人群図ーⅡ」、大学院を修了した年の作品。その秋の第2回創画会で初めて創画会賞を受賞して、賞をもらった意味も画家になることも、なんだかわけがわからなかった26歳の頃。当時の展覧会は旧都美術館で開催されてて、思い出すことは、漆喰の古い壁と、油が染み込んだ焦茶色の木の床と、ハイヒールで歩くとコツコツと、とんがった音がしていたのだけを覚えている。その時に展示されただけのこの作品、梱包を外してみたら思いの外に鮮明な絵の具が現れてきた。全然傷んでいなくて、すごい!
真面目に描いてたんだと実感する時。43年経った今でも、とても好きな作品、これからも何年経っても変わらずに好きだと言える絵が描けるのだろうか。
この作品を美術館に展示できるだけで、本当に良かったと思う。