世間はちろりに過ぐる ちろりちろり
何ともなやのう うき世は風波の一葉よ
何ともなやのう 何ともなやのう 人生七十古来稀なり
ただ何事もかごとも 夢幻や水の泡 笹の葉に置く露の間に あじなき世や
夢幻や 南無三宝
くすむ人は見られぬ 夢の夢の夢の世を うつつ顔して
何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ
閑吟集
昨年の10月に、仕事で松山を訪れた際に、松山に住む古い友人に鹿島へ連れて行ってもらいました。友人は大学時代の同級生、学生時代は巨大な作品を描いてて、アグレッシブな作品を作っていました。作品を運ぶのにリヤカー借りて大学と下宿を往復してたかな。私は彼の仕事にとても刺激を受けていたのです。
彼とは本当に久しぶり、何十年ぶりの再会だったのではないかしら。
卒業後は郷里の松山へ帰り、そこの高校の美術の先生をしています。高校で美術を好きな若い人たちがあんなに大勢いるのは、おそらく彼の影響と功績が大きいのでしょう。
鹿島は愛媛県北条市の沖合に浮かぶ無人島で、小さな船着場から渡船に乗り5分ほどで着いてしまいます。島の周囲は約1、5キロ、海沿いの小道を歩くと所々崖くずれなどもありますが、小1時間もあれば美しい瀬戸内の風景と海にそびえる奇岩に癒されながら一周することができます。島の砂や岩は真っ白、おそらく花崗岩でできているのでしょうか、手で触れるとざらりとしているのですが、暖かくてやさしい感触があります。島には野生の鹿もたくさんいて、砂浜にはたくさんの鹿の足跡がありました。
ここは神が住む島なのです。